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2022/11/21 07:00
コーヒーの精製とは?

コーヒーチェリーの構造は外側から、
1 外皮→2 果肉→3 ューシレージ(粘液質)→4 パーチメント→5 シルバースキン→6 種子(生豆)という具合に、生豆は包まれています。
コーヒー豆の精製は4のパーチメントまでを取り除くことが目的ですが、その方法には主に4つの精製方法に分類できます。
・ウォッシュド(水洗式)
スペシャルティコーヒーの精製においては最も一般的で、最も品質が安定しやすいつくり方です。果肉除去機を使って果肉を除去した後、発酵槽に漬けて粘液質(ミューシレージ)を取り除きます。ミューシレージは種に強くついておりそのままでは洗い落とすことができないので、この次の工程「発酵」を行います。発酵は、微生物が糖分を水や二酸化炭素に分解する反応のことです。チェリーについていた微生物がミューシレージ付きの種と一緒に1-3日寝かされることで反応が進み、発酵が終わった頃には手で触っても種のザラザラした質感が分かるほどにミューシレージが分解されます。この発酵の工程で、オレンジや桃のような、豆ごとに個性があるフルーツの風味が生まれるとも言われている、風味を決定づける重要な工程です。発酵が終わったコーヒーは、水路に流したり、水洗のタンクに入れたりして、水が透明になるまで洗います。水洗を十分に行い、発酵したミューシレージを洗い切ることで、透明感あふれる雑味のないコーヒーとなっていきます。その後、大量の水を使って洗い流し、乾燥棚に広げて乾かします。ウォッシュドで精製されたコーヒー豆はクリーンな味わいが特徴。しかし大量の水が必要なため、地域によっては不向きな方法です。また発酵槽の排水による環境汚染などが問題視されることも。近年は浄化してから排水するなど、工夫の必要性が問われています。
・ナチュラル(乾燥式)
ナチュラルは、コーヒーチェリーのまま乾かし、乾燥したら乾いたコーヒーの皮ごとまとめて脱穀して中のコーヒー生豆を取り出す精製方法のことで、フルーティな風味になることが特徴です。水を必要としないので、険しい山岳地帯のような水が引けない地域でも可能な精製です。果肉の香りや甘みが生豆に染み込み、フルーツのような甘酸っぱさと香りを感じられます。ナチュラルの精製方法が多い国は、主にエチオピアやブラジル。ナチュラルは気候に影響を受けやすい反面、水の少ない地域でも精製が可能です。丁寧にコーヒーチェリーを転がすことで、腐敗を防いで品質の高いコーヒー豆ができあがります。
・パルプド・ナチュラル
パルプド・ナチュラルとハニープロセスはほとんど同じ精製方法ですが、前者はブラジル、後者は中米のコーヒー豆に対して使われています。果肉を取る工程はウォッシュドと同じですが、粘液質は取り除きません。そのまま天日干しにすることで、粘液質が持つ糖分や酸味が生豆に染み込みます。そのため甘みや透明感を感じられる味わいに。この精製方法は大量の水や発酵槽を必要としないため、近年注目されつつある精製方法です。
また中米コスタリカでは、粘液質を除去する割合によってハニープロセスを区分しています。それらは「ホワイトハニー」「イエローハニー」「レッドハニー」「ブラックハニー」と呼ばれ、後者になるほど粘液質の量が多くなります。
・スマトラ式
スマトラ式はインドネシア・スマトラ島で行われる伝統的な精製方法です。現地ではギリン・バザーとも呼ばれています。スマトラ式はコーヒーチェリーを収穫して果肉を取り除いた後、粘液質が付いたまま半乾きの状態にします。そしてパーチメントを取り除き、再度乾燥。スマトラ式以外の精製方法では、パーチメントを取り除くタイミングは出荷の直前です。しかし雨が多いスマトラの地域では、早く乾かすために乾燥の段階で脱穀を行います。これが大地や土を思わせる、スマトラ産独特のフレーバーを生む理由と考えられているのです。しかし柔らかい生豆のまま乾燥させるため、変形したりカビが生えたりと欠点豆ができやすいのが難点です。
今回は4つのコーヒー豆の精製方法を紹介しました。この他も最近は精製工程中に、嫌気性発酵(アナエロビック)を行い、今までになかったようなフレーバーのコーヒーを作り出す新しい手法も増えてきました。
自分の好みのコーヒーがどんな精製方法で処理をされているのかを知ることで、自分の好みの精製方法を知ることができると思います。
Different Coffee Roasterのコーヒー豆には全てどんな精製方法で処理されたかをラベルに表示してあります。
世界のコーヒー産地や精製方法の多様さと味わいの違いを楽しんでみてください。
Different Coffee Roaster ECサイトはこちら
https://www.differentcoffeeroaster.com/